【バンナム×ウド―】グローバル化が課題の「邦楽」、日本が誇るIPとの融合で世界へ 新たな“ライブ体験”構想とは?
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『テイルズ オブ フェスティバル』TALES OF(TM) Series & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.(C)いのまたむつみ (C)藤島康介
『テイルズ オブ』シリーズがきっかけ、バンダイナムコとウドーがタッグ
バンダイナムコグループ初の多目的ホール「Shibuya LOVEZ」(C)Bandai Namco Base Inc.
同グループでは2026年4月に映像音楽事業における組織再編を実施。グループ横断で音楽事業を強化・加速していく方針を宣言している。特に重要性を増しているのがライブ事業で、バンダイナムコミュージックライブが手掛けるライブイベントは年間800本を超える規模へと成長している。
「当社のあらゆる事業でも、時代や状況に関わらず価値が高まっているのが、玩具やアミューズメント施設、そしてライブといったリアルな体験を伴うエンタテインメントです。なかでもライブはIPの世界観を体感として届け、ファンとの繋がりを育む場として、さらに重要な役割を担うようになっています」(バンダイナムコホールディングス取締役副社長 グループ戦略担当(CW360)・桃井信彦氏)
「Shibuya LOVEZ」のこけら落とし公演を行ったT.M.Revolutionおよび西川貴教(C)Bandai Namco Base Inc.
「ウドーさんとはこれまでもさまざまな形で協業をしてきました。なかでもRPGゲーム『テイルズ オブ』シリーズの声優陣や主題歌アーティストが集結する大型イベント『テイルズ オブ フェスティバル』は、神奈川・横浜アリーナへ会場を移した2012年より運営と制作をお任せしています。収容人数の多い会場を取り仕切るオペレーション力に、数多くの大型アーティストの来日公演を成功させてきた力を実感しました」(バンダイナムコミュージックライブ 常務取締役 鈴木孝明氏)
グローバル化が課題の音楽に見出した“伸びしろ”、世界が渇望するライブ体験
『テイルズ オブ フェスティバル』TALES OF(TM) Series & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.(C)いのまたむつみ (C)藤島康介
「エンタメ産業のグローバル化やデジタル技術によるライブ体験の進化は、想像以上のスピードで進んでいます。ウドーは来年で60周年になりますが、実績に甘んじていては50年後の未来はありません。これまでの招聘事業に加え、まだ誰も見たことのないライブ体験を開発し、世界へ届けたい。バンダイナムコさんのIPプロデュース力と、私たちが積み重ねてきたライブ制作のノウハウが掛け合わされば、その未来は必ず実現できると確信しています」(株式会社ウドー音楽事務所 取締役・有動敦胡氏)
『テイルズ オブ フェスティバル』TALES OF(TM) Series & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.(C)いのまたむつみ (C)藤島康介
「当社の事業で、よりグローバル化を推進したいのが音楽です。音楽を世界へ届ける試みは、当社に限らず日本の音楽業界全体の長年の課題でした。しかし状況は、急速に変わってきています。今年5月に米・ロサンゼルスで開催されたJ-POPフェス『CLOUD NINE presents “Zipangu” JAPANESE MUSIC EVENT 2026』では3万5000人が熱狂したように、アニメ主題歌をきっかけに世界的な人気を得るアーティストが続々と現れています。また昨今は、ゲーム音楽のオーケストラコンサート(オケコン)が、欧米を中心に世界的な潮流となっています。日本のIPを入り口としたライブ体験を、世界中の人たちが渇望しているのです」(桃井氏)
『テイルズ オブ フェスティバル』TALES OF(TM) Series & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.(C)いのまたむつみ (C)藤島康介
「ありがたいことに当社のコンテンツやアーティストにも、海外のイベント等から頻繁にお声がけをいただきます。しかし『呼ばれて行く』だけでは、生み出せる熱狂も“点”で終わってしまう。その熱狂を“線”から“面”へと広げていくためにも、こちら側から戦略的に仕掛けていくフェーズに来ているのを感じています。『Zipangu』はその先陣を切った好例でしたが、私たちもバンダイナムコらしいライブ体験を世界にお届けしたい。その点でも世界の音楽業界にネットワークを持つウドーさんのリソースを、大いに期待しています」(鈴木氏)
X JAPAN海外公演を大成功させたウドー、今度はバンナムが有するIPの活用を構想?
『テイルズ オブ フェスティバル』TALES OF(TM) Series & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.(C)いのまたむつみ (C)藤島康介
もっとも、ウドー音楽事務所の代表取締役社長・遠藤敬輔氏は「現場の主力はやはり海外からアーティストをお招きするインバウンド事業です」と現状を冷静に語る。
「今後さらに海外事業を発展させるためには、自分たちでライブコンテンツを企画し、世界へ届けるアウトバウンドの発想が必要でした。世界中で人気のIPを豊富にお持ちのバンダイナムコさんとパートナーを組むことで、その可能性は一気に現実味を帯びています」(遠藤氏)
そうした構想のもと、両社ではすでに複数のアイデアが上がっている。例えば、ゲーム音楽に特化した大型DJフェスや、キャラクターのバーチャルライブなどは「ライブをパッケージ化することで、アーティスト個人に依存することなく、世界各国を巡回する仕組みが構築できるのではないか」と遠藤氏は抱負を語る。
『テイルズ オブ フェスティバル』TALES OF(TM) Series & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.(C)いのまたむつみ (C)藤島康介
「当社と長いお付き合いのある海外のアーティストには、『パックマン』や『ガンダム』といったバンダイナムコさんのIPが大好きな人もいます。彼らとキャラクターがステージで競演したり、コラボグッズを作ったり、さらには楽曲提供への意欲まで引き出せたら。年内にはバンダイナムコさんの資料を携えて、現地マネジメントに説明に行くことを考えています」(有動氏)
「例えば、世界中で人気の『たまごっち』のIPを活かして、「たまごっち×ライブ体験」のような、全く新しいファミリー向けのリアルイベントを作ることもできるかもしれません。可能性は無限にあります」(桃井氏)
ゲーム音楽に特化した大型DJフェス、キャラクターによるバーチャルライブ、海外アーティストとのコラボレーション──。今回のパートナーシップから生まれようとしている企画は、いずれも「ライブ」を起点に日本のIPの価値を世界的に高めるための取り組みだ。
数年のうちに「日本のポップカルチャーが世界的なムーブメントを起こす」
『テイルズ オブ フェスティバル』TALES OF(TM) Series & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.(C)いのまたむつみ (C)藤島康介
「バンダイナムコさんは、世界観を作る天才なんです。一方、私たちは生の体験を作る職人。その2つが掛け合わされることで、今までにないライブコンテンツが生まれるのではないかとワクワクしています」(有動氏)
この有動氏のコメントは、まさに今回のパートナーシップを象徴したものだ。アニメやゲームが生み出した世界観を、ライブというリアルな体験へと昇華させる。その体験が新たなファンを生み、さらにIPの価値を広げていく。バンダイナムコとウドー音楽事務所が挑もうとしているのは、そうしたエンタテインメントの新たなエコシステムだと言えるだろう。
『テイルズ オブ フェスティバル』TALES OF(TM) Series & (C)Bandai Namco Entertainment Inc.(C)いのまたむつみ (C)藤島康介
「ここ数年で日本のポップカルチャーの受容層は明らかに変わってきています。以前は一部の熱心なファンのものだったのが、特にアジア圏では若者文化として定着しつつあります。音楽を含む日本のポップカルチャーが世界的なムーブメントを起こすタイミングは、ここ数年のうちに来ると思っています」(遠藤氏)
その時、世界へ届けるべきものは個別のIPやコンテンツではない。作品の世界観をライブというリアルな体験へと広げ、その体験を通じて、日本という国や文化そのものへの愛着が育まれる──。バンダイナムコが育ててきたIPと、ウドー音楽事務所が半世紀以上にわたり磨き続けてきたライブ制作。その2つが交わることで日本発のエンタテインメントは今、かつてないステージへと踏み出そうとしている。
(文/児玉澄子)
⇒ウドー音楽事務所 オフィシャルサイト(外部サイト)





