オリコンニュース
Toshl、『IM A SINGER VOL.4』で自身が“ギャン泣き”した名曲もカバー アニソンは「思い出そのもの」 “歌道”を極める飽くなき探求心
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アニソンという「アンタッチャブルな世界」への挑戦 原点回帰とファンの分厚い壁
「愛をとりもどせ!!」を歌うクリスタルキングは、Toshlが子どもの頃から憧れ続けてきた存在だ。「中学時代に『大都会』をピアノで弾き語りした時、自分の高いキーにフィットして「すごいな自分」と思って(笑)。数年後に『愛をとりもどせ!! 』と出合い、『これだ!』と 圧倒され、アニメとともにカッコいい!と感じました」と語る。カバーが決まった際は、「超うれしかったし光栄」と喜んだ一方、「重さ」も感じたという。
「ファンとして聴いていた曲を今度は自分が歌う。ものすごいチャレンジでチャンスだけど、アニメは幅広い世代に深いファンが多く、こだわりを持った方々も多い。楽曲への思いも皆さん重ねていらっしゃるので、そこの分厚い壁をどうぶち破るのか。いろんなカバーをしてきましたが、アニソンはある種アンタッチャブルな世界。あまり触れてはいけない、触れない方がいいという畏れのような気持ちもどこかありました」(Toshl/以下同)
アニメファンの厚い支持を受ける作品だからこそ、一人のシンガーとして作品と誠実に向き合った。そして、作品への敬意を胸に、自分なりの表現でその世界へ飛び込んだ。その挑戦を振り返り、Toshlは「思いっきりぶつかってみたら良かった」と笑顔を見せる。
「林(ゆうき)さんのアレンジがカッコよかったし、『北斗の拳』のプロデューサーさんから『Toshlさんしかいない』と熱く語っていただき、応えたいと思った。レコーディングが終わった瞬間、スタジオ中から歓喜の叫びが上がって。アニソンシンガーの仲間入りができた気がしてうれしかった」
GLAY・HISASHIとの最強コラボ実現 「紅蓮の弓矢」カバーに込めた情熱と敬愛
なかでもアルバムの核となるのが、『進撃の巨人』オープニングテーマ「紅蓮の弓矢」だ。以前からRevo(Linked Horizon)を敬愛し、ライブにも足を運んできたToshlにとって、いつか歌いたいと思い続けてきた一曲だった。
「シンフォニックで壮大で、アニメの世界観とクロスしつつ、どんどん広がり深まっていく映像が浮かんでくる。歌ったらどうなるのだろうという自分への興味もありました。許可をいただけるなら是非やりたいと思い入れが強い曲で、コーラスから何から声の部分は、自分でできるものは全部やろうと気合を入れて臨みました」
楽曲をさらに引き立てる存在として思い浮かんだのが、GLAY・HISASHIだった。「アニソンラブという意味ではHISASHIさん。絶対やってほしかった」と振り返る。
「(アレンジを手がけた)村山潤さんに相談したら、すぐに連絡してくださって。そうしたらHISASHIさんから『それ弾けるのは僕しかいないでしょう』といった感じで快諾してくれました。残念ながらレコーディングはご一緒できませんでしたが、音を聴いたときにはぶっ飛びました」
当初は「ギターソロだけでも」と依頼したが、HISASHIは「全編やらせていただきます」と快諾。全編にわたって重ねられたギターサウンドが、その世界観をさらに広げた。
あえて狙った最大のギャップ 「ムーンライト伝説」を“乙女の気持ち”で歌い上げる
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「幅広い年代の女の子たちにとって思い出深く、影響を受けた楽曲だと思う。それを僕が歌うのは客観的に見てもギャップが面白そうだし、聴きたい方もいらっしゃるのではと思いました。自分がどう歌うのか、アレンジに対する好奇心もありました」
女性シンガーの楽曲を歌った前作とはまた違い、今回はアニメ作品ならではの世界観も意識した。「自分も乙女になって、その気持ちになって歌い上げていきました」と感覚の違いを語る。
楽曲を探求、研究していくことで「ますます歌が愛おしくなる」
「レコーディングに向けて曲を深掘りしていくと、『こんな音が入っているのか』とか『これはもしかしてこれ母の鼓動?』など、新たな音や歌詞の引っかかりが発見できる。それを自分の歌やアレンジにどう生かしていくかを、探ったり形にしたりしていくのも喜びの一つです」
なかでも最も感情移入したのが「secret base 〜君がくれたもの〜」(『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』エンディング)だった。Toshlは「数多のアニメがある中でおそらく最もギャン泣きした、自分にとっては忘れられないアニメ」と思い入れを口にする。
「自分にとっても思い入れも深いし歌わせていただけて光栄。あの世界観を自分の歌としてどう表現するかを探求し、イメージを固めて練習を重ねていき、レコーディングではその思いを込めるだけの状態で臨みました。時間を費やしてアニメの世界や楽曲の世界に入っていきながら作り上げる作業は楽しかった」
ヒゲダンへの「リスペクト返し」 若き才能との出会いが刺激に
「あらゆる音楽ジャンルのいいところが全部入っていて、かつメッセージ性ある歌詞も素晴らしい。アニメを観ながら聴くと藤原聡さんはじめ皆さんの才能がぶっ飛んでいるなと感じます。ヒゲダンさんと共演した際、『ファンです』と言ってくださいましたが、僕もヒゲダンさんのファン。リスペクト返しの思いを込めてスピードメダルを入れました(笑)。アレンジ的にはいちばん凝っていて、“forヒゲダン”“ヒゲダンラブ”という感じに仕上げたので、喜んでいただけたらいいなと思っています」
そうしたリスペクトは、菅田将暉「虹」にも向けられている。「歌って感動する曲を考えたとき、『泣いていいんだよ』の歌詞で世界観に引き込まれました。歌詞とメロディのフックの強さや巻き込む強さは、映画も含めて心をつかまれた」という理由で、『虹』(映画『STAND BY ME ドラえもん 2』主題歌)を選曲。Toshlは菅田将暉の歌い方を「エモい」と絶賛する。
「菅田さんの巻き舌が入るところも少しリスペクトを入れ、自分の歌と菅田さんのエッセンスを交えながらやってみました。歌いながらまあ泣きました(笑)。てらいも何もなくそのままだからこそ誰にも染み込む歌であり、またストーリーも含めて全人類、泣くでしょうと。素晴らしい楽曲だからこそ難しかったですが、チャレンジした甲斐はありました」
ボカロ曲で「人間技じゃない」領域へ 若い才能からの“機械扱い”に感じた刺激
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「新しいものに挑戦したいと思って探しているときにボカロはどうかなと。人間がやるものじゃない世界に人間として挑むのは面白いだろうし、できるのかという興味も湧きました。人として、ボーカリストとして超越してみたいという挑戦でした」
初めて歌った印象は「人間技じゃないと思いました」と振り返るToshl。制作現場では、忖度のないやり取りが続いたという。さたぱんPは遠慮なく、「まるで機械に言っているかのように」と思うほど高い要求を投げかけた。それもまた、Toshlにとっては新たな刺激になった。
「機械扱いしてくれたのがうれしかった。やってやろうじゃないかと。そうやって対峙するのは楽しかったし、若い世代のプロデューサーに言われるのも快感でしたね(笑)。結果として自分の開拓にもなったし、こんな声も出るのかという新たな発見もあり、まだまだ自分はイケるという感覚も得ることができ、うれしかった」
常に向上心を胸に高みを目指し続けるToshl。「そこに喜びがある。楽しいとかうれしいとか幸せって思えることは、だいたい歌を通して経験することが多い。歌って自分を表現することや何か伝えること、そこから返ってくるものが、自分にとっての生きる糧みたいな幸せにつながっている」と穏やかな表情で語る。
「歌は何よりも自分にとって大切なものだし、歌える以上はもっと追求していきたい。もっと歌をコミュニケーションツールとして極めていけたら」
「当たり前」への感謝を歌に 命の尊さと向き合い生まれた魂のオリジナル曲
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「命というもの、生きるとか死ぬとかを深く考えるような出来事があり、そこから大切なものって何だろうと、ふと立ち止まって思い返す時期がありました。当たり前は見過ごしがちだけど、あらゆることが当たり前じゃない。多くの方に支えられているし、多くのものに支えられている。そういう一つ一つに『ありがとう』という気持ちがあふれて曲ができました」
曲に綴られた「あなた」というフレーズには、さまざまな意味が込められている。「自分自身という意味もあるし、ファンの皆さん、応援してくださる皆さんでもあるし、今までいろんな経験をさせてくださったあなたでもある。人だけではなく、あらゆる自然にあるものも出来事も含め、「あなた」として全てがあったから今があるという一つ一つのこと。そんな思いを込めました」と言ってうなずく。
「運命の閃光」が「ありがとう」を届ける歌なら、「煌めきは風」は、その思いを受け取る側の視点から描いたアンサーソングだ。「僕がありがとうと伝え、言われた相手はどう返したいと思うのかな」と想定して作ったといい、羽生結弦とコラボした際、自身の「マスカレイド」「クリスタルメモリーズ」で演舞する際の心境を「Toshlさんの中に入ってパフォーマンスします」と羽生に言われたことがきっかけになったと明かす。
「言われた側の僕が中に入ってお返しするとしたらどんな歌が生まれるのかなという思いで書いたのが『煌めきは風』です。応援してくださるファンの皆さんの気持ちの中に入って『運命の閃光』を聴いたら、なんて僕(Toshl)に返すのだろうと。その方に入って、愛しい方の中に入って生まれ出ずる言葉は何があるのかなとイメージしながら作りました」
そんな思いで綴られたなかで印象的なフレーズについて尋ねると、Toshlは「煌めきは風」と応じ、「自分のキラキラしたもの、思いが風に乗ってあなたに届いてほしい。そんな思いを伝えていくことが「きらめきは風」というフレーズで届けば。我ながらいいタイトルをつけるな(笑)」とちゃめっ気たっぷりに話す。
カバーアルバムは「自分を育んでくれたかけがえのないパートナー」
子どもの頃に夢中になった作品も、大人になって出会った作品も、音楽が流れれば、その時代の記憶が鮮やかによみがえる。だからこそToshlは、アニソンを「思い出そのもの」と表現する。
「僕も子どもの頃からいろんなアニメを観ていますし、今でもすぐに歌える曲はいっぱいあります。例えば『巨人の星』を歌えばあの時代にすぐ戻れるし、『ルパン三世』の時代にも『ドカベン』にも戻れる(笑)。その人にとっての大切なものです。寂しさや喜びといった感情や思い出まで抱えているのがアニソンだと思うので素敵なもの。自分も仲間に入れていただけて感慨深いです」
最後に、歌を通して届けたい思いを尋ねた。
「歌は僕の手を離れた時点でもう聴く方のもの。ただ楽しんでいただくのもうれしいし、歌詞やメロディ含めその音楽がその人の人生の大切なときや必要なときに少しでも寄り添えるようなものになれば、この上なくうれしいです。形にして届けるところまでできたことが僕にとっては奇跡的なこと。それこそありがとうの言の葉を伝えたいです。煌めきは風として、皆さんに何か届けばいいなと思います」
取材・文:遠藤政樹
撮影:田中達晃(パッシュ)
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Toshl『IM A SINGER VOL.4』通常盤 ジャケット
■Toshl NEW ALBUM『IM A SINGER VOL.4』
発売日:2026年7月1日
【初回限定盤】CD+Blu-ray
品番:TYCT-69388/価格:6050円(税込)
Blu-ray収録内容
「煌めきは風」(弾き語りLive)
「運命の閃光」(弾き語りLive)
Toshl SELF LINER NOTES OF “IM A SINGER VOL.4”
「ブチかませ」MUSIC VIDEO
【通常盤】CD
品番:TYCT-69389/価格:3630円(税込)
CD収録曲(共通)
1.愛をとりもどせ!!
2.紅蓮の弓矢
3.ミックスナッツ
4.ムーンライト伝説
5.魂のルフラン
6.secret base 〜君がくれたもの〜
7.虹
8.ブチかませ
9.運命の閃光
10.煌めきは風
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