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新浜レオン、「愛のFIRE」で開いた新たな扉 目指すは唯一無二の「ジャンル・新浜レオン」

 現在TVアニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマとしてオンエアされている「愛のFIRE」を収録したEP「New Beginning」が9月28日付オリコン週間シングルランキングで5位、同演歌・歌謡シングルランキングで1位を獲得し、2026年度(25年12月22日付〜26年9月28日付)シングルランキング累計枚数でソロアーティスト総合3位(1位 Ryosuke Yamada、2位 中島健人)、演歌・歌謡シングルランキング累計枚数でソロアーティスト1位を記録した新浜レオン。グループアーティストの活動華やかな現在のミュージックシーンにおいて、ソロ歌手としてその存在感を高めている。今回は音楽評論家・小�蜻蝠緕=i元『ROCKIN'ON JAPAN』編集長/現Interview inc.代表)によるインタビューをお届けする。

「愛のFIRE」で開いた新たな扉 ロックへの挑戦

――今日は話を聞けるのを楽しみにしていました。スタッフの方に、「新浜レオンに興味ありますか?」と聞かれて、「とてもあります」と。新浜レオン、すごいアーティストじゃないですか。実は、よくカラオケで歌わせてもらっていて、「愛のFIRE」。

新浜レオン(以下、新浜)「愛のFIRE」を?

――聴いたら、一度は歌いたくなる曲じゃないですか。

新浜とてもうれしいです。でも、初めてですね。自分の曲で、男性からも「歌いたくなる」って言っていただけるのは。今までの曲ではなかったです。すごく嬉しいです、そういう反応をいただけるのが。

――今回、「愛のFIRE」を収録した1st EP「New Beginning」のSpecial Edition盤がリリースされる(取材は9月上旬)とのことで。端的に聞きますが、この曲は、新浜レオン的には新機軸なんですか? 自分としての感覚はどうでしょう。

新浜最初、「名探偵コナン」チームのみなさんから「Fun! Fun! Fun!」を終えて、違う新浜レオンを見たいと明確に言っていただいて。そのなかで楽曲コンペがあり、100曲以上集まったなかに、徳永(暁人)さん※の「愛のFIRE」も入っていました。スタッフのみなさんと全部聴いて、満場一致で「この曲でしょ」となりました。新しい新浜レオンは何だろうと考えた時に、「名探偵コナン」のオープニングといえば、やっぱりロックだ!と思って。そこから、今までとは違う新浜レオンを見せられる楽曲として、この「愛のFIRE」にたどり着いた感覚です。

※徳永暁人:ベーシスト、シンガー、作曲家、アレンジャー、プロデューサー。アレンジャーとしてB’z「ultra soul」「イルミネーション」他、作曲ではZARD「永遠」、倉木麻衣「Feel fine!」「Stand Up」「渡月橋 〜君 想ふ〜」などのヒット作品を多数手掛ける。また「ドラゴンボールGT」や「スラムダンク」のTVシリーズや映画のサントラも作曲担当。

――なるほど。

新浜すごいインパクトがあるし、「最高の曲だな」と思う一方で、「本当に僕が歌っていいんだろうか」という不安もありました。レコーディングには徳永さんが立ち会ってくださったのですが、歌いながらも「背伸びしすぎなんじゃないか」「最終的に新浜レオンの曲にできるだろうか」と、正直ずっと不安だったんですが、そんな時、徳永さんが「(僕が敬愛している)西城秀樹さんはロックだよ」と言葉をかけてくださいました。「尊敬する秀樹さんをイメージして歌えたら、それがレオンのオリジナリティになるから大丈夫だよ」と言っていただけて。その言葉をきっかけに、すっと肩の力が抜けて、落ち着いてレコーディングに臨むことができました。

――自分としては構えるというか、「俺、この曲、歌えるのかな」という不安があったんですね。

新浜最初はめちゃくちゃありました。

――それが解けたのは、レコーディングしてみて、という感じ?

新浜そうですね。歌ってみて、あらためて「そもそもロックって何?」という話が始まって。

――まさに、そのテーマにあらためて向き合ったからこそ生まれた楽曲だと思うんです。

新浜暇さえあれば(西城)秀樹さんの映像を観ていました。それに加えて、B'zさんのライブ映像をあらためて観たり、徳永さんのお話を思い返したりしながら、歌入れを進めていきました。

 だから正直、いまだに「ロックって何なんだろう」という自分の中での結論は出ていないんです。でも、「とにかく全力で歌うことで、その答えに少しでも近づけるんじゃないか」――そんな思いで、がむしゃらにマイクに向かっていました。

――ロックとは何か、という話ですよね。

新浜ロックについてのお話を聞きたいです。

――その議論だけで、いくらでも話せてしまいますが(笑)。もちろん、サウンドとしてのロックもあると思います。エレキギターが鳴って、でかいドラムが鳴っていてという。さらに明確にハードロック的なサウンドこそ、ロックと認識することもあっていいと思います。でも、やっぱり精神的なものとして語りたいですよね。

【新浜】精神的な……。

――はい。いろんなロックがあって、いろんな人のロックがあって、何だっていいと思います。「俺にとってはこれがロックなんだ」でいいと思う。そのうえで重要なのは、世の中の人がまだ具体的な欲望として言葉にも、形にもできていないかもしれないけれど、「これこそがみんなに必要なものなんだ」「これはみんな気持ちいいはずなんだ」「深層心理では、みんなこういうものが欲しいはずなんだ」というアイデア、楽曲を、迷いながらも提示すること。その姿勢に出会った時に、自分は、ロックに出会ったなと思うんです。

新浜なるほど。

――その結果、「今までなかったけど、まさにそれが欲しかったんだ!」「それが聴きたかったんだ!」と、多くの人が指さすものが生まれてくる。それが、時代を撃ち抜く新たなロックになっていく。iPhoneは究極のロックだったんだと思うんですよ。

新浜ああ、そういう意味では、僕が演歌歌謡を歌っていくなかで、どうしても(自分の中から)滲み出てしまうものがあると思うんです。僕は本当に、心の底から演歌歌謡が好きですし、父も演歌歌手ですから。

 でも学生時代は、ただ「演歌歌謡」というワードだけで聴こうとしない友達ばかりで、そこに共感してくれる人は誰ひとりいませんでした。「演歌歌謡? 演歌歌手? じゃあ聴かない、古いよね」って言われてしまう。その現実に「一体なんなんだろう」と悔しさを感じていました。「この固定観念をぶち壊すには、どうしたらいいんだろう」と、そればかりを考え続けた学生時代でした。

――ええ。

新浜僕はもともと野球でプロを目指していたのですが、野球を終えてからは、父の鞄持ちやバックコーラスをしながら本気で歌手を目指し始めました。そのなかで、「大学の周りの友達が、演歌歌謡を聴くきっかけをどうすれば作れるだろう」とずっと考えていたんです。

 その一歩として思いついたのが、大学のミスターコンテストへの出場でした。「ここなら自己PRの時間に、学生たちの前で歌える!」と。コンテスト当日、客席の学生たちの間を一人ひとり握手しながら練り歩いたら、結果的にグランプリをいただくことができました。それだけでなく、僕が何も言っていないのに、友達が自然とカラオケでムード歌謡を歌い出すようになって。すごく小さな一歩ですが、確かに変化が起きたんです。「これを全国に広げていくことこそが、自分がデビューする意味だ」と確信して、僕はデビューしました。

 そこから(2022年の)『名探偵コナン 犯人の犯沢さん』の主題歌(「捕まえて、今夜。」)との出会いが、めちゃくちゃ大きな一歩になりました。SNS上で「よくわかんないけど、めっちゃいい(笑)」という声があふれて。コナンファンのみなさんも、最初は「演歌歌手が歌うの?」と身構えていたと思うのですが、アニメの映像と合わさった時に「なんか笑える、面白い!」と受け入れてくださった。

 その大きな一歩があって、昨年(2025年)の「Fun! Fun! Fun!」へとつながっていきました。ただ、ここまで注目していただけるようになっても、どこかまだ“(笑)”の要素は消えていないな、という思いも正直あります。

――“笑”、ですよね。

【新浜】これから先も、面白がっていただけること(“笑”の要素)が本意ではない、というわけではないんです。親しみを持ってもらえるのはすごく嬉しいことですから。

 でも、そういったイメージを良い意味で打ち消すような、誰もが理屈抜きで「この歌、本当にいいね」と感動してくれる場所に、30代のうちに絶対に到達したい。今回の「愛のFIRE」では、僕のなかに燃えているそういう熱い決意も、一つの大きなテーマとして歌に込めています。

“笑”の先へ 「歌、本当にいいね」と言われる場所を目指して

『新浜レオン コンサートツアー 2026 〜New Beginning〜』より

『新浜レオン コンサートツアー 2026 〜New Beginning〜』より

――とても感じます。「新浜レオンに興味ありますか?」と聞かれて、「すごくあります」と答えたのは、僕のなかで一点、新浜レオンというアーティストに強く感情移入できるところがあったからなんですよ。

 それは、背負ってるな、ということ。何かを背負ってるな、と。演歌歌謡が好きだ、西城秀樹が好きだという、いろんな出自があるし、生まれ持った物語もあると思うんです。でも、そこで戦うと決めたんだと。ロックバンドを組むわけじゃなくて、俺はここで戦うと決めたんだと。決めた以上は、その使命を背負って歌い続けなきゃいけない。じゃあ、そのためにはどうしたらいいんだ、どういう曲が必要なんだ、どういう俺でいればいいんだ――そういう、背負ったからこその自問自答を、ある意味愚直に繰り返している人なんだろうな、という印象があったんです。だから、今の話は非常に腑に落ちます。

新浜本当ですか。そこを感じていただけていたんですね。その使命感は、この7年間、そもそもビーイング(現B ZONE)からデビューできると思っていなかったところから始まっていて。ビーイングと言えばJ-ROCK、J-POPど真ん中のレーベルで、スタッフ含めて演歌歌謡界のセオリーを知らない中でスタートしたので、周りの、いわゆる演歌歌手の方たちの中にはもしかしたら「非常識だな」とか、「何者なんだ」とか戸惑われる方もいたと思うんです。それなのに、演歌界の重鎮である五木ひろしさんに劇場公演に呼んでいただいたり、先輩方に本当にとんでもなくよくしていただいて、少しずつ、僕が大好きな演歌歌手のみなさんに近づいていけたのかなと思っています。

 ただ、毎回葛藤はあるんですが、僕の中には「ジャンルの枠を本当に超えたい」という一貫した思いがあります。その軸だけは絶対にぶらしたくない。「演歌歌謡を若い人に伝えたい」という、すべての始まりであるその気持ちだけはブレずに、これからも活動していくんだ。それが今の僕の強い心境ですね。

――日々、アイデンティティは揺らぐんですね。

新浜そうですね。ありがたいことにバラエティ番組にもたくさん出させていただいて。まずは「新浜レオン」という存在を知ってもらうことが何より大切だと思って、全力でやり続けてきました。

 でもここに来て、「新浜レオン、芸人に間違えられる」なんてニュースが出たり、街で「あ、膝で滑る人ですよね(笑)」と言われたりすることが増えてきて。世間的なイメージが、自分が本当に大切にしている音楽の軸よりも、若干強くなってきている気がして「これでいいのかな」と悩むこともありました。

 そんな葛藤を抱えているなかで出会ったのが、今回の「愛のFIRE」なんです。この曲に関しては、本当に全身全霊、「俺は歌うぞ」という強い気持ちしかありません。今まではどこか“僕”という少し一歩引いた感じだったんですけど、今回は「俺が歌ってやる、聴いてくれ!」という、魂の底からの叫びが詰まっています。

――最初は、「この曲を歌うのは、本当に俺でいいのかな」という思いがあったというのは、当然だと思います。でも、僕からすると、そりゃ来るよ、こういう曲が、と。「こういう曲をいずれ、誰かが作ってくれ」という活動とパフォーマンスを、新浜レオンはしてきたと思うんです。どこかで「あ、ついに来たな」という気持ちもあったんじゃないですか? 歌えるのかなという不安もあったけど、「ああ、ついに来た」みたいな。

新浜そうですね。確かに。

――不安の裏で、そういう確信めいた気持ちもあったはずですよ。

新浜そうですね。今回の楽曲に対して「(タイミングが)来た」と感じたのは、僕自身がどこかでそういう挑戦を求めていたから、というのも正直あります。
もちろん、こっちのけんとさんに作っていただいた「LOVE しない?」のように、「今の新浜レオンのイメージなら、こういう曲だよね!」というハッピーな楽曲をいただけることも本当にありがたいんです。『NHK紅白歌合戦』に出場させていただいた時も、白組のトップバッターとして出演者の皆さんと絡みながら、お客さんと一緒にダンスや笑顔を生み出していく、それこそが「新浜レオン」の形なんだ、とも思っています。

 でもその一方で、「一人の歌手としての新浜レオン」をしっかりと見せられなければ、これから先の未来はない、という強い危機感も常に持っていました。だからこそ、自分の本当の歌唱力や、歌える姿を証明したいと思いながらずっと活動してきたんです。それが、今回の曲に出会った時の「ついにそのタイミングが来たんだ」という強い気持ちにつながっているのかもしれません。

――だから、「名探偵コナン」チームからもらったお話も、たまたまの思いつきではもちろんなくて、必然だと思うんです。新浜レオンがこれまでやってきたことが、みんなに「新しい新浜レオンを見たい」と思わせてきた、ということだと思いますけどね。

新浜そうやってつながっていたとしたら、嬉しいですね。

――つながってると思いますよ。それで、数々のヒット曲、名曲を持つ大作家の徳永さんが、腕を振るって、「次はこれだろう」と。

新浜徳永さんには、実は4、5年前に僕のカップリング曲(5thシングル「捕まえて、今夜。」収録「糧」)を作っていただいたことがあって。ものすごく素敵なバラードなんですけど。それ以来、仲良くしていただいてたんですよね。本当にかっこいい方で。僕のなかで徳永さんは、同じ男性から見ても「この人、欠点がないな……」と思ってしまうような存在です。お人柄は優しいですし、お声はもちろん素晴らしくて、楽器まで何でも弾きこなせて、歌も圧倒的に上手い。「一体なんなんだろう、この人は」って、本当に憧れしかない方だったんです。

 でも、こうやって(今回の楽曲で)一緒に制作を進めていくなかで、「俺、宇宙人が好きなんだよね」とか、そういうプライベートな話もしながら制作できた時間は、個人的にとても嬉しかったです。

――徳永さんは、レコーディングにも来てくれたんですよね。ボーカルには、どういうディレクションがあったんですか?

新浜徳永さんはレコーディングにも立ち会ってくださいました。でも、案外細かい指示を出すようなところはなくて。「このフレーズはもっと秀樹な感じで」とか、「ここはもっと張ってみてよ」というアドバイスくらいだったんです。

 逆に、AメロやBメロは、僕が気合を入れすぎて肩の力が入りまくっていたみたいで。「そこはあえて引き算してメリハリをつけた方が、意外とロックになるよ」といったことを教えていただきました。

 最後は「あとは、俺がアレンジでめっちゃカッコよくやっとくから!」と言ってくださってレコーディングが終わりました(笑)。

――へえ。でも、細かいディレクションはいらなかったと思いますよ。聴いていて思うんですけど、要するに、この曲を作った段階でディレクションは8割終わっているというか。「これを歌ってくれれば、絶対にそれで仕上がるから」「今の君なら、絶対に仕上がっちゃうから」という、徳永さんからのメッセージが、この曲にはあると思います。

新浜そうなんです。シャウトのニュアンスなんかも、一つひとつ細かくディレクションされるものだと思ってレコーディングに臨んだんですよね。

 でも、一回つるっと最初から最後まで歌ってみたら、あれ? 全然何も言われないな、え? ってなって(笑)。逆に僕の方から「ここ、こんな感じで大丈夫ですか?」と聞きに行ったら、「最高じゃん!」って言ってくださって。あ、この方向性でいいんだ、と。

 今こうやって振り返りながらお話ししていると、あの時点で徳永さんとの間に、ちゃんとした信頼関係が生まれていたんだな、と改めて実感しますね。

――徳永さんは百戦錬磨の作家ですよね。ただ、彼の楽曲のライブラリーのなかでも、すごく硬質で、背骨がぶっとい曲で。ロックバラードとしても作れたと思いますけど、「でも、これなんだよ」という。この曲を今、新浜レオンに渡したというのは、明確なメッセージだと思う。それは、新浜レオンがちゃんと呼んだんだと思いますけどね。

新浜つくづく思うのは、自分が今までやってきたことに何一つ無駄はなかったんだな、ということです。野球を全力でやっていたことも、本当にそうなんですよね。

 実は最初の頃、「せっかく父親が演歌歌手で、自分も最終的に歌手になるんだったら、野球なんてやっている場合じゃなかったのかな……」と後悔に似た思いを感じた時期もあったんです。でも、今になってみれば当たり前のことですけど、あの頃に培った礼儀や体力、精神力がなかったら、今のハードなスケジュールは絶対にこなせないなと。学生時代に民謡のレッスンを受けていたことなども含めて、これまでの点と点がすべて行き着く先でつながって、本当に無駄なことなんて何一つなかったんだなと実感しています。

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