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年越しカウントダウン中止の渋谷区、頭悩ます“路上喫煙”は外国人観光客より日本人が問題?「苦情が減った」喫煙所整備における草の根活動

多くの人が行きかう渋谷、写真中央にスクランブル交差点の喫煙所が(C)oricon ME

多くの人が行きかう渋谷、写真中央にスクランブル交差点の喫煙所が(C)oricon ME

 渋谷駅前の「年越しカウントダウン」が、5年連続で開催を見送られることになった。併せて12月31日と1月1日には、駅前の公衆喫煙所2ヵ所を閉鎖する予定だ。コロナ禍の感染対策でこうした喫煙所閉鎖はよく行われていたが、渋谷のような繁華街、ましてやイベント時に問題はないのか。最近では非喫煙者からも「路上喫煙やポイ捨てが増えるくらいなら、喫煙所は必要」との声もある。巨大ターミナル駅を抱える渋谷ならではの対策の難しさと、解決に向けた取り組みについて渋谷区環境整備課長に聞いた。

路上飲酒だけではない渋谷ハロウィン、なぜスクランブル交差点の喫煙所を閉鎖?

  • 路上飲酒を禁止する告知(イメージ)

    路上飲酒を禁止する告知(イメージ)

 1日300万人、年間12億人が利用する渋谷駅。なかでもハロウィン期間のカオスぶりは全国ニュースでも報じられるほどで、近年、渋谷区ではこの時期の駅周辺の来訪を控えるよう呼びかけてきた。今年はさらなる厳戒態勢を敷いた甲斐もあって、大きなトラブルもなく終わったようだ。とかく路上飲酒がフィーチャーされがちな“渋谷ハロウィン”だが、いつも以上に人が集まるこの時期は路上喫煙対策も強化したという。

 「当区では2019年に『きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例』を改正し、分煙対策指導員及び喫煙ルール啓発員による巡回指導を強化してまいりました。分煙対策指導員は、違反をした方から過料2000円を徴収しています。喫煙ルール啓発員は、夜間帯において、通常、3人1組で街を巡回していますが、ハロウィン期間は注意した方と揉める危険性も考えて、6人1組に増員。そのほか区の職員も英語・中国語・韓国語が書かれたプラカードを持って啓発に当たりました」(渋谷区 環境政策部 環境整備課長・吉澤卓哉さん/以下同)

 また、ハロウィン期間はスクランブル交差点、宮益坂交差点の喫煙所は封鎖。ゴミステーションにも「喫煙所はどこ?」との問い合わせも増えたようだが、それ以前にポイ捨てや路上喫煙は増えなかったのだろうか。

 「事前告知によって来街者が減ったこともあり、目立っては増えなかったです。ただ今年は路上飲酒をかなり厳格に取り締まったこともあり、居酒屋で飲んでいた方がたばこを吸いに外に出たら、喫煙所がなかったため路上で吸ってしまった…というケースはあったかもしれません」

 このような懸念がある中、なぜ喫煙所を封鎖したのか。それには、狭く人通りの多い渋谷ならではの事情もあった。

 「以前、韓国で事故が起こったように、密集による将棋倒しなどを防ぐためです。この時期は喫煙所に限らず、狭い場所に人が集まらないよう対策を徹底。喫煙者には不便をおかけしましたが、ご理解いただければと思います」

マナー守られず…過料ふくめた罰則規定に改定、だがルール周知には課題も

  • 路上に貼られたNO SMOKING

    路上に貼られたNO SMOKING(C)oricon ME

 渋谷駅周辺が人でごった返しているのは、何もイベント時期に限ったことではない。人の群れが縦横に行き交うスクランブル交差点は、日中から深夜まで人波が途絶えない。渋谷が魅力的な街である証拠でもあるが、そのぶん浮き足立った気分のままルールを破る人が出てきてしまうのも想像に難くない。

 「区の人口の何倍もの人たちが遊びに来る場所でもあります。今は喫煙率が下がっているとは言いますが、何%かがたばこを吸っていれば、そこへの対策は必須。渋谷区では2003年に『渋谷区分煙ルール』を定めて喫煙者のマナー向上を図ってきたのですが、マナーを守らない行為が多数見られたことから、2019年に過料など罰則規定を盛り込んだ『渋谷喫煙ルール』に改訂した経緯があります」

 とはいえ、スクランブル交差点を闊歩する人々のどれくらいが、このルールを知っているだろうか。

 「ルールは区のHPなどにも記載されていますが、とくに区外の方への周知は難しいですね。路上に禁煙の文字があっても、楽しい気分になっている皆さんには見逃されてしまいます。周知徹底についても、今後の課題だと考えています」

「訪れた国のルールには従う」外国人観光客の一方で、過料を出しぶるのは…

  • スクランブル交差点は観光名所に(イメージ)

    スクランブル交差点は観光名所に(イメージ)

 また、昨年から一気に増えた外国人観光客への対策にも頭を悩ませる。スクランブル交差点自体が観光スポットになるほど、今の渋谷には外国人が多い。

 「もともとインバウンドは多かったのですが、これほど増えるとは想定外でした。今年からは街を巡回する分煙対策指導員が3ヵ国語パネルによるルール説明や、喫煙所の案内も行っていますが、まだまだ対策が追いついているとは言えません」

 現在は渋谷駅周辺の至るところに、<NO SMOKING><過料2,000円>と表示された路面シートが貼られている。もちろん、ルール違反への過料は外国人にも「きっちり徴収する」とのこと。

 「外国の方は、注意をすると意外とすんなり過料を払ってくださいます。『ここで吸ってはいけないのを知らなかった』『訪れた国のルールには従う』という方がほとんど。多言語での告知などでルールが届きさえすれば、解決できるのかもしれません」

 一方で、過料を渋る人の多くは「日本人の若者」。なかには、「指導員のオレンジ色のベストを見ると、サッと隠れる人もいる」という。

 隠れるのであれば、その人たちは「吸ってはいけない」ことを知りながら、注意や過料徴収を避けているとみられる。隠れれば逃れられるというわけではないし、そもそもルールを破った上でのこの行動はいかがなものか。ハロウィンにしても喫煙マナーにしても、とかく目立つ外国人観光客ばかりが槍玉にあがりがちだが、実態は少々異なるようだ。

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