ORICON NEWS
年越しカウントダウン中止の渋谷区、頭悩ます“路上喫煙”は外国人観光客より日本人が問題?「苦情が減った」喫煙所整備における草の根活動
路上飲酒だけではない渋谷ハロウィン、なぜスクランブル交差点の喫煙所を閉鎖?
「当区では2019年に『きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例』を改正し、分煙対策指導員及び喫煙ルール啓発員による巡回指導を強化してまいりました。分煙対策指導員は、違反をした方から過料2000円を徴収しています。喫煙ルール啓発員は、夜間帯において、通常、3人1組で街を巡回していますが、ハロウィン期間は注意した方と揉める危険性も考えて、6人1組に増員。そのほか区の職員も英語・中国語・韓国語が書かれたプラカードを持って啓発に当たりました」(渋谷区 環境政策部 環境整備課長・吉澤卓哉さん/以下同)
また、ハロウィン期間はスクランブル交差点、宮益坂交差点の喫煙所は封鎖。ゴミステーションにも「喫煙所はどこ?」との問い合わせも増えたようだが、それ以前にポイ捨てや路上喫煙は増えなかったのだろうか。
「事前告知によって来街者が減ったこともあり、目立っては増えなかったです。ただ今年は路上飲酒をかなり厳格に取り締まったこともあり、居酒屋で飲んでいた方がたばこを吸いに外に出たら、喫煙所がなかったため路上で吸ってしまった…というケースはあったかもしれません」
このような懸念がある中、なぜ喫煙所を封鎖したのか。それには、狭く人通りの多い渋谷ならではの事情もあった。
「以前、韓国で事故が起こったように、密集による将棋倒しなどを防ぐためです。この時期は喫煙所に限らず、狭い場所に人が集まらないよう対策を徹底。喫煙者には不便をおかけしましたが、ご理解いただければと思います」
マナー守られず…過料ふくめた罰則規定に改定、だがルール周知には課題も
「区の人口の何倍もの人たちが遊びに来る場所でもあります。今は喫煙率が下がっているとは言いますが、何%かがたばこを吸っていれば、そこへの対策は必須。渋谷区では2003年に『渋谷区分煙ルール』を定めて喫煙者のマナー向上を図ってきたのですが、マナーを守らない行為が多数見られたことから、2019年に過料など罰則規定を盛り込んだ『渋谷喫煙ルール』に改訂した経緯があります」
とはいえ、スクランブル交差点を闊歩する人々のどれくらいが、このルールを知っているだろうか。
「ルールは区のHPなどにも記載されていますが、とくに区外の方への周知は難しいですね。路上に禁煙の文字があっても、楽しい気分になっている皆さんには見逃されてしまいます。周知徹底についても、今後の課題だと考えています」
「訪れた国のルールには従う」外国人観光客の一方で、過料を出しぶるのは…
「もともとインバウンドは多かったのですが、これほど増えるとは想定外でした。今年からは街を巡回する分煙対策指導員が3ヵ国語パネルによるルール説明や、喫煙所の案内も行っていますが、まだまだ対策が追いついているとは言えません」
現在は渋谷駅周辺の至るところに、<NO SMOKING><過料2,000円>と表示された路面シートが貼られている。もちろん、ルール違反への過料は外国人にも「きっちり徴収する」とのこと。
「外国の方は、注意をすると意外とすんなり過料を払ってくださいます。『ここで吸ってはいけないのを知らなかった』『訪れた国のルールには従う』という方がほとんど。多言語での告知などでルールが届きさえすれば、解決できるのかもしれません」
一方で、過料を渋る人の多くは「日本人の若者」。なかには、「指導員のオレンジ色のベストを見ると、サッと隠れる人もいる」という。
隠れるのであれば、その人たちは「吸ってはいけない」ことを知りながら、注意や過料徴収を避けているとみられる。隠れれば逃れられるというわけではないし、そもそもルールを破った上でのこの行動はいかがなものか。ハロウィンにしても喫煙マナーにしても、とかく目立つ外国人観光客ばかりが槍玉にあがりがちだが、実態は少々異なるようだ。