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【MyAnimeList】「マンガは世界で大人気」はホント? 海外の意外な実態とハードル…“海賊版”から見えた競争力を持つために必要なこと
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海賊版にユーザーが流れてしまう逆説的な理由、「いちばん作品が網羅されている」
『You Should Read This Manga 2025』2025年度版の一部
「国産で多く利用されているのは集英社のMANGA Plusや講談社のK MANGAです。いずれも日本とタイムラグなく配信され、かつ最新話が無料で読めるのが好評です。女性向け作品が充実しているMangaPlazaも着実にシェアを伸ばしているのではないでしょうか。また、NTTドコモが始めたMANGA MIRAIなどもあり、プラットフォームの裾野は確実に広がっていると感じています」(田中さん)
ちなみに国産を除けば、公式で最も利用されているのはKindleだという。
「とはいえ、Kindleはマンガに特化したプラットフォームではないため、『極めて“ユーザーフレンドリー”』かつ作品が『いちばん網羅されているから』などという理由で、よくないことだとわかっていながらも海賊版を利用しているユーザーは少なくはないと感じています」(田中さん)
海外向けの国産プラットフォームは増えているものの、日本のようなあらゆる出版社の作品を網羅した総合型のマンガに特化したプラットフォームは、まだ十分に整っているとは言い難い。逆説的に、最も作品が充実した海賊版にユーザーが流れてしまっている──というのが実態のようだ。
海外で正しくマンガが読まれるために必要なのは?「翻訳作品数と早さ、総合的なサービスを作ることに尽きる」
「まず、翻訳作品数を充実させることです。日本で配信されている電子コミックは50万冊以上あると思いますが、そのうち英語版だけでも翻訳されているものは数%と推察されます。ただ、マンガのローカライズは単に吹き出しの中を翻訳すればいいだけではなく、擬音などや絵そのものをローカライズする必要があります。大手では自社で費用負担をして翻訳しているものもありますが、ほとんどの作品が海外出版社とのライセンス契約によって翻訳出版・配信されています。ですが、このように翻訳出版されるものは、海外出版社によって選ばれた作品に限られています。海外出版社からすると、こうした労力やコストは多くの作品には割けないため作品数がどうしても限定されるというのが実情かもしれません」(溝口さん)
ちなみに、海賊版サイトで翻訳を担っているのは、“マンガ愛”に溢れた一般ユーザーであり、「このマンガを多くの人に読んでもらいたい」といった推し活のような感覚で違法行為に手を染めているようだ。
「しかし彼らにも意外に道義的なところがあり、公式で翻訳出版・配信された作品はサイトから削除することもあります。だから許される行為という訳では決してありませんが、彼らにも作家や出版社へのリスペクトの気持ちはあるのだと思います。海賊版対策にはさまざまなハードルがありますが、決め手はやはり、日本が一丸となって翻訳作品数とその早さを充実させ、日本と同じような多くのマンガが揃った総合的なサービスを作ることに尽きるのではないでしょうか」(溝口さん)
なお、かつて日本のアニメ業界も違法の字幕動画に悩まされた時代があった。しかし近年は16言語の字幕・12言語の吹き替え版で展開するアニメ配信プラットフォーム・Crunchyroll(ソニーグループ)が世界的に躍進。海賊版サイトの駆逐にも功を奏しているようだ。
昨年10月には経団連が日本のコンテンツを基幹事業と位置付け、国に対して集中的な支援を提言している。今こそ日本のマンガ業界が協同し、名実ともに国際競争力の要へと成長していくことに期待したい。
(文:児玉澄子)
■MyAnimeList「You Should Read This Manga」2025年度版(外部サイト)