オリコンニュース
スーパーで買ったアサリから“ひょっこり”現れた生物に「はじめて見た!」「回転ずしの味噌汁にいたのコレだったの?」
お味噌汁でたまに見かける“茹で上がった小さなカニ”の飼育に挑戦中!
「動画に登場するものは、スーパーで普通に販売されている食用のアサリです。我が家ではアサリを食べるカニを飼育しており、普段から餌としてそちらを購入しているのですが、殻付きのまま水槽に入れると中身が傷み、水が汚れやすくなります。そのため、毎回殻をむいてからカニに与えているんです」
――その時に、カニを発見されたと。こうしたことは珍しくないのでしょうか?
「そうですね。ピンノ(カクレガニ類)は、アサリだけでなくカキやハマグリなどの二枚貝の中で共生するカニとして知られています。そのため、市販の食用アサリの中に紛れていること自体は決して珍しいことではありません。実際、お味噌汁などを作った際に、茹で上がった小さなカニを見つけた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか」
「アサリが取り込んだ有機物を横取りして食べてしまうので、ピンノが住み着いたアサリは身の成長が悪くなるともいわれています。そのため『共生』というよりは『寄生』に近い関係なのかもしれません」
――オスとメスのピンノを同居させた動画も拝見しましたが、どこで雌雄を判断されていたのでしょうか?
「実はピンノは、オスとメスで見た目や生態が大きく異なるので分かりやすいんですよ。メスは丸みのある体型で、ダニを思わせるような独特の見た目をしており、一生のほとんどを二枚貝の中で過ごします。一方、オスはメスより体が小さく、複数の二枚貝を渡り歩きながらメスを探して生活しています」
――では、お味噌汁などから見つかる赤く茹で上がった小さなカニは…。
「メスであることが多いと思います。オスは目を凝らさないと見つからないことも多いので。我が家では、別々のタイミングでアサリから発見したオスとメスを同じ水槽で飼育していますが、ピンノを飼った経験のある人などほとんどおらず、餌探しだけでも一苦労でした。そして現在もなお、手探り状態での飼育を続けています」
脱皮事故からの介護、自宅での繁殖…たくさんの“初めて”をくれたサワガニという存在
「一番思い入れがあるのは、やはり『サワガニ』です。私がSNSでの発信を始めるきっかけにもなった生き物であり、食用としても親しまれているカニなので、名前を知っている方も多いのではないでしょうか」
――川によくいる小さな食べられるカニ、というイメージがあります。
「そうですよね。しかし、実際はどこにでもいるカニというわけではなく、きれいな水が流れる山間の渓流などが生息域です。そのため、その姿を見ると田舎の夏や渓流の景色が思い浮かぶ…という方も少なくないかもしれません。私にとっても日本の夏を象徴するような非常に愛着のある生き物であり、今でもサワガニに会うため毎週のように渓流へ足を運んでいます」
――毎週のように渓流へ…まさにライフワークといった感じですね。
「サワガニという存在は、私に多くの貴重な経験を与えてくれました。脱皮事故で半年ほど介護をした個体もサワガニですし、自宅で初めて繁殖に成功し、抱卵から稚ガニの誕生、そして成長までを毎日観察できたのもサワガニです。現在は、脱皮事故の原因を少しでも解明したいという思いから、企業や視聴者の皆さんにもご協力いただきつつ、生息地の水質調査にも取り組んでいます」
「サワガニは地域によって赤や茶色、青みがかった個体などさまざまな体色が見られ、生態にもまだ多くの謎が残されています。身近な生き物でありながら、研究すればするほど新しい発見があり、私にとってはこれからも探究し続けたい特別な存在です」
――サワガニだけでも目からウロコのお話ばかりで、カニの生態について何も知らないのだなと実感しました。ほかに、長年カニの観察をしてきた中で「実はあまり知られていない」と感じる、カニの生態や魅力がありましたら教えてください。
「あまり知られていないなと感じるのは、カニの再生能力についてです。カニは脱皮の失敗や共食い、ケンカなどで脚やハサミを失ってしまうことがありますが、その後、脱皮を繰り返すことで、少しずつそれらを再生していきます。SNSでこの様子を発信すると、驚かれる方が非常に多くいらっしゃいますね」
――失われた部分は、完全に元通りになるのでしょうか?
「いえ、何度でも完全に元通りになるわけではありません。再生しないこともあるし、元の大きさには戻らないこともあります。都合の良い永久機関ではないことは、ぜひ知っておいていただきたいです」
――カニの「知られざる魅力」についてはいかがでしょうか?
「知られざる魅力は、『カニも人に慣れる』ということです。人影を見るだけで逃げていた個体が、餌を持ったピンセットに近寄ってきたり、水槽の前で作業をしていると威嚇しにきたり…。長く飼育していると、そんな明らかな変化が感じられます。もちろん犬や猫のように、甘えたり愛情表現をしたりするわけではありませんが、私はこの『逃げる』から『威嚇する』への変化も人慣れの一歩だと考えています」
――カニが人間をきちんと認識しているということですね。
「例えば、脱皮事故で半年ほど介護したサワガニは、毎日ピンセットで餌を与え続けた結果、私が手を入れるとハサミを伸ばして近寄ってくるようになりました。餌が貰えることを覚えただけなのかもしれませんが、その変化はとても嬉しかったです。カニは表情がない、無機質な生き物と思われがちですが実際には個体ごとに性格があり、飼い主を認識してさまざまな反応を見せてくれます。こうした変化を観察できることが、カニを長く飼育する大きな魅力ではないでしょうか」
@ruuaquarium
▼YouTube
『非日常のアクアリウム』