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レモンサワーの次を狙う「お茶割り」に焼酎の蔵元、茶葉の生産者も熱視線…「国内で成熟させることに意味がある」

お茶割り(写真提供:茶割 学芸大学)
「お茶であれば何でもあり」 トマトハイ、梅干しサワーを退けた"自由度"という決め手
「茶割」のほか2店舗のお茶割り専門店を手掛ける、株式会社サンメレ代表取締役・多治見智高氏
多治見氏2016年当時、日本中にお茶割りの専門店はまだ一軒もなかったと思います。僕自身がお茶割りに出会ったのはゴールデン街のスナックで、ボトルキープをしながら、水以外の選択肢としてペットボトルのお茶で焼酎を割るというのがせいぜいでした。
ただ、ホットペッパー外食トレンド総研の「2016年流行グルメランキング」では、トップ10に「○○専門店」がランクインしていました。サバ専門店、カモ専門店、パクチー専門店など、その店の独自性で店を選ぶという行為が徐々に広まり始めていた時期でもありました。
――専門店の業態を考える際、お茶割り以外にも候補があったと伺いました。
多治見氏はい。トマトハイ、梅干しサワー、お茶割りの3つを比較検討しました。トマトは多分レモンに近い方向にしか広がらない。凍らせるとか品質を変えるとか、そのくらいしか展開の余地がないと思ったんです。梅干しサワーも同様に広がりに欠けると判断して、最後に残ったのがお茶割りでした。
――お茶割りを選んだ決め手は何だったのでしょうか。
多治見氏お茶という“素材そのものの自由度”です。レモンサワーはレモンと炭酸で結構規定されていますよね。その逆で、お茶割りはお茶と割りなので、お茶であれば何でもありだし、深みと広がりを同時に持たせることができる。ウイスキーバーやアブサンバーのように、同じジャンルの中に無数の個性が並ぶ面白さを、瓶詰めされていないお茶でどう再現するか。そこで生まれたのが「10種×10種で100種のお酒を提供する」というメニューの設計です。10種では多分「いっぱいある」とは言われないし、1000種はオペレーションが回らない(笑)。100種なら「いっぱいある」と思ってもらえるし、オペレーション的にもどうにかなるだろうと。子どもの頃から母が淹れてくれる玄米茶に親しんできた原体験も、この選択を後押ししました。
ワインのマリアージュを参考に、「ほうじ茶×ウイスキー」「紅茶×ラム」など色を合わせることも
茶葉の生産地を訪れる多治見智高氏
多治見氏開業当初は近所の茶舗(ちゃほ)を頼るところから始めて、そば茶やルイボスティーといった“茶外茶(チャノキの茶葉を使わずに作られるお茶の総称)”も扱っていました。ただ2018〜19年頃、メディアの取材を通じて茶産地から声をかけていただくようになり、静岡や鹿児島の畑や工場に自分の足で通うようになったんです。品種の多さや、作り手・土地による味の違いを知るうちに、仕入れの基準はどんどん厳格になっていきました。今、茶割グループでは、僕自身が畑も工場も見たことのあるお茶屋さんからしか買わないということになっています。全国20〜30軒ほどの生産者から仕入れていて、一マスごとに生産者名を添えていますし、社員にも日本茶検定の受講を勧めるなど、店全体の知識の底上げを図っています。
――お酒の選定についてはいかがですか。
多治見氏お酒についても、蔵元まで足を運んで確かめられる本格焼酎を優先する方向へ舵を切りつつあります。
――組み合わせの考え方に、何かセオリーはあるのでしょうか。
多治見氏ワインのマリアージュを参考にしています。同色のマリアージュや、同質のマリアージュ、補完のマリアージュなどがありますが、例えば色をあわせて「ほうじ茶×ウイスキー」、「紅茶×ラム」を組み合わせるようなかたちです。ただ、100通りの中から選ぶ楽しみそのものが狙いなので、基本的には「好きに選んでください」というスタンスは崩さないようにしています。
日本茶と本格焼酎、両業界からの追い風「日本で成熟せずしてどこで広がるのか」
10×10の組み合わせから、100種の様々なお茶割りが作られる
多治見氏レモンサワー以降、メガヒットと呼べるアルコールカテゴリーが生まれていないこともあって、大手酒類メーカーの間でもお茶割りへの関心が高まっていると感じています。宝焼酎さんやサントリーさんをはじめとして、RTDにおけるお茶割りのバリエーションが広がってきた印象です。
――実際に兆しとなる具体的なエピソードはありますか。
多治見氏今年3月には、鹿児島県内の焼酎蔵の杜氏や醸造責任者が集まる「鹿児島県本格焼酎技術研究会」でセミナー講師を務める機会がありました。そういう場に僕みたいな人間を呼んでくださるということは、次はお茶割りかもしれないと本格焼酎の側が思ってくれているということで、とてもチャンスがあるなと思っています。
蛤と煎茶のフォー。麺に出汁が染み込んでいて、ホッとできる〆の一杯
多治見氏僕は仕入れで日本茶の生産者、本格焼酎の蔵元、両方と取引があるのですが、どちらの業界も盛り上がりを見せています。抹茶をはじめとしたブームがありますし、焼酎も香り系芋焼酎のような、これが焼酎の味わいかと驚くようなテイストの商品が増えている。どちらも日本由来のものなので、日本で成熟せずしてどこで広がるのか、とすら思います。いま国内でこのカテゴリーを成熟させることにこそ、意味があると考えています。
――今後、どのような展開を見据えていますか。
多治見氏本格焼酎と日本茶を掛け合わせるという方向に可能性を感じています。こんな業種は日本にしかないですし、日本茶自体、世界中で日本にしかない。それを混ぜた飲み物は、日本でしか生まれ得ないと思っています。