オリコンニュース
SixTONES松村北斗が提示する、アイドル屈指の"フレーズの強度" バラエティの新たな潮流に

29日には、ニッポン放送に移動し『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』にも出演
代々受け継がれてきた伝統、"しゃべれるアイドル"の系譜
嵐の二宮和也や櫻井翔は、自らボケて笑いをさらうタイプではなく、場の空気を読んで的確にツッコミを入れたり、あえてイジられ役に回ったりと、周囲を輝かせる"パスの出し手"としてのトーク力で評価されてきた。関西出身のSUPER EIGHTは、村上信五を筆頭に"アイドルらしからぬ"と称されるほどのトーク力を武器に、これまで15本以上のバラエティ系冠番組を担当してきた実績を持つ。
さらに近年では、菊池風磨のように体当たりでロケを回したかと思えば、オーディション番組では“菊池風磨構文”といわれる、SNSでミーム化するほどの名言を連発するタイプも。
その対応力は年々威力を増しているように思えるが、SixTONESの松村北斗は、こうした"しゃべれるアイドル"の系譜の「さらに先」を提示しているのではないか。
「え、SixTONESなんだ」俳優として出会った人が驚く“逆転現象”
その裏付けとなるのが2026年3月の第49回日本アカデミー賞授賞式。『秒速5センチメートル』で優秀主演男優賞、『ファーストキス 1ST KISS』で優秀助演男優賞、さらにオールナイトニッポンリスナー投票による話題賞まで受賞。このトリプル受賞は、俳優の岡田准一以来11年ぶりの快挙だという。
SNSに寄せられる反響から、「アイドルがドラマに出て、演技も評判になる」という従来の順序ではなく、「まず俳優として作品にハマり、あとから調べたらSixTONESのメンバーだった」という“逆転の現象”が起きている。この逆輸入型の認知経路こそ、松村がグループそのものへの新しい入り口になっている証左でもある。
“印象に残る決めワード”を芸人ではなくアイドルが放つ意味
その"合いの手"の精度は、進行役を担う藤森慎吾自身が証言している。2026年4月放送の『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』にゲスト出演した藤森は、田中樹をはじめとしたメンバーが自分を「慎吾」と呼び捨てにするようになったきっかけについて、収録中に松村が「慎吾〜」とヤジを飛ばしたことがきっかけだったと明かした。まだ始まったばかりの番組で、お互いの距離感も分からないなかで「オンエアに乗るか乗らないかのところでガヤを入れてくれて」関係性が生まれたと振り返っている。
番組作りの視点で見ても、その存在は理にかなっている。進行役がゲストを回す"本線"とは別に、松村の一言がもう一つの笑いの発生源になることで、番組は外部の芸人だけに頼らずとも内側から笑いを生み出せる。台本にない場面でも"使える"言葉を確実に拾える人がいるというのは、制作側にとって心強い頼みの綱でもある。そして、体を張ったハプニングが"見ないと伝わらない"のに対し、気の利いた一言は文字だけで成立するぶん、公式SNSでの切り抜きや拡散とも相性がいい。オンエア後も"テロップになった一言"が独り歩きする。それもまた、彼がもたらす"付加価値"のひとつなのだろう。
脈々と築いてきた伝統を更新? “しゃべれるアイドル”のその先へ
松村と同世代のアイドルでお笑い担当のキャラクターをあてられている人の共通点は、"おバカキャラ"か"体を張る"タイプが定番だった。平野紫耀、岸優太、松田元太の天然キャラがその代表例で、いずれも笑いの起点はキャラクターの愛らしさにあった。クラスに置き換えるなら、中心にいるムードメーカーだ。
松村は、どちらかというとその対極の位置にいる。冠番組『Golden SixTONES』で爆笑が生まれる流れの起点をつくったり、練りに練られた一言で場を締めたりする姿は、クラスの端の方にいるのに、たまに放つ一言だけがやけに面白くて、気づけばみんなに一目置かれている――そんなタイプに近い。芸人が磨き上げるような言葉の職人技、ウィットに富んだフレーズを生み出すことを、アイドルという立場でやってのけている。ここに、既存のアイドル論では説明しきれない新しさがある。
俳優としての評価、鍛えられた言葉のセンス、そしてアイドル像を更新する知性的な笑い。この三つを兼ね備えた人材は、決して多くない。松村北斗は、単なる"人気者"の延長ではなく、演者としての実力と、笑いの現場での即応力を併せ持つ、"テレビタレント"として、ある種の到達点にいたっているとも言えるのではないか。そしてそれは、5クール連続で民放連ドラ主要キャストにメンバーを送り込むグループ全体の勢いとも、決して無縁ではないはずだ。