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なぜマンガアプリが「アニメ」を始めた? 「無料話合戦」から“循環”の競争へ 「読む」の先へ向かう次世代プラットフォーム
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マンガとアニメの相乗効果、アプリ内で完結へ
こうした「アニメ視聴からマンガ講読」へのシームレスな移行を、一つのアプリ内で完結させようとするのが昨今の新たな潮流だ。今回、いち早く定額制アニメ配信に踏み切ったLINEマンガも、激変するユーザーの消費スタイルを見据え、プラットフォームとしての役割を広げようとしている。
同社のLINEマンガビジネス 橋本竜馬本部長によれば、その背景には「コンテンツの楽しみ方の多様化」が大きく影響しているという。
「LINEマンガはマンガを楽しむことができる場から、我々のオリジナル作品も楽しめる場へと変化してきました。さらにその先を考えた際、周辺領域で最も近い『アニメ』へのチャレンジが必要だと判断しました」(LINEマンガ・橋本さん)
実際、アニメが配信されると原作マンガの売上が大きく伸びる傾向があることも、判断を後押しした。1つのプラットフォーム内でマンガとアニメの両方を楽しめる形を目指し、業界トップクラスのラインナップを持つ『dアニメストア』に声をかけたという。
アニメは「離脱」ではなく「追い風」
<「dアニメストア for LINEマンガ」提供イメージ/「dアニメストア for LINEマンガ」TOP>
「これまでもユーザーの離脱といったマイナス面より、むしろアニメによるプラスの影響の方が大きいと考えてきました。アニメをきっかけに、原作マンガをLINEマンガで購入する動きが強いためです」
つまり今回の取り組みは、課題の解決ではなく、IPを軸に複数のフォーマットで楽しめる「付加価値」を生み出す試みだといえる。この点は、協業先のドコモも同じ認識だ。同社コンテンツサービス部の高辻正担当部長は、自社外のプラットフォームと連携する意義をこう語る。
「より多くのお客さまにアニメの楽しさを届けるためには、自社サービスの枠を超え、日常的に利用されているさまざまなプラットフォームとの連携が重要だと考えています。今回の取り組みは、お客さまとの新たな接点を創出し、作品との出会いを広げていくための前向きな挑戦です」
さらにドコモの高辻さんは、「『原作を読む』『アニメを観る』という体験は、本来ひとつの作品体験としてつながっているもの」と強調する。マンガを読んで興味を持ったその瞬間に、同じアプリ内で自然にアニメを楽しめる環境をつくる。それこそが、作品のファンをより多く創出するための狙いだ。
アプリ内で完結する「行き来」の設計
<「dアニメストア for LINEマンガ」提供イメージ/作品詳細ページ>
「こだわったのは、マンガとアニメのシームレスな相互導線です。マンガ画面からアニメ、アニメ画面からマンガへとすぐに移動できるボタンや画面設計を行っています」
もう一つの特徴が、LINEマンガの「コイン」を使った視聴の仕組みだ。通常のサブスクリプション契約だけでなく、使い慣れたコインを使って7日間または30日間の「お試しパス」としてアニメを視聴できる。マンガ利用者がアニメ定額サービスへ足を踏み入れる、心理的なハードルを下げる見事な設計といえる。
また、アニメを観終えたユーザーを原作マンガへ導くため、出版社と協力したプロモーションも展開。今後は新作アニメの放送に合わせた大型施策を、出版社と一体となってさらに増やしていく考えだ。
こうした独自の設計は、今年8月の展開以降、早くもユーザー行動に明確な変化をもたらしている。
「アニメも視聴するユーザーの方は、マンガのみの利用者に比べ、毎週・毎日訪問するなど、よりディープかつヘビーにLINEマンガを使ってくださる(マンガへの課金含む)傾向が見られます」
橋本さんがここで特に期待を寄せるのは、一時的な滞在時間の伸びよりも「訪問の習慣化」だ。新作アニメは毎週更新されるため、それに合わせてアプリを開くリズムが自然と生まれる。実際に、アニメ視聴層の毎週の訪問率は高く、その狙いは確かな手応えに変わっている。
協業の狙いは「作品を中心としたエコシステム」
高辻さんは、マンガを日常的に楽しむユーザーの中には、アニメ化をきっかけに作品への関心を深める人が多いと指摘する。興味が高まった瞬間にアニメへ触れてもらえることに、大きな価値があるとみる。
「私たちが目指しているのは、マンガとアニメをそれぞれ別の市場として捉えるのではなく、作品を中心としたエコシステムをつくることです」
マンガとして読まれ、アニメとして楽しまれ、さらに音楽やイベント、グッズへと広がる。そうした体験を通じてファンが増え、作品価値が高まる循環を描く。今後は配信の連携にとどまらず、マンガ原作の制作やアニメ化といった作品づくりの領域でも、両社の強みを掛け合わせた共同検討を進めたいという。
見据えるのは「IPが生まれるプラットフォーム」
「最も重要なことは『LINEマンガはIPが生まれるプラットフォーム』になることです。日本発のコンテンツを私たちが積極的に世界に配信することで、IPとして成長させていくきっかけを生み出すことが大事だと考えています。キーワードとして『Japan to Global(日本からグローバルへ展開)』を掲げ、LINEマンガから日本発・世界中で愛されるメガIPを生み出すことを目指しています。」
すでに、LINEマンガが自社で権利を保有するオリジナルウェブトゥーンのアニメ化も進んでいる。来年以降は、アニメ配信のタイミングに合わせて、オリジナル作品とアニメの共同プロモーションを積極的に行う予定だという。アニメという枠組みすら超え、IPが盛り上がるさまざまなフォーマットへの挑戦は今後も続く。
「新規獲得」の先へ、問われる「循環」と「滞在」
アプローチは違えど、狙いは共通している。もはやアニメは、原作がヒットした後の「出口」ではない。新しい作品と出会う「入口」であり、毎週の更新を追ってユーザーがアプリを開く「通う理由」として機能し始めているのだ。
これまでマンガアプリの競争は、「無料話」の多さで新規ユーザーを取り合う構図が中心だった。だが今後の焦点は、映像で広げた接点が、いかに原作の購入や継続的な閲読へと還元されるかにある。エンタメ競争の軸は、単なる新規獲得のフェーズを終え、獲得したユーザーをいかに深く「循環」させ、長く「滞在」してもらうかという、新たなステージへと突入している。
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