ORICON NEWS
“推し活特化”の家具に需要はあるのか? 推し活社員が集結し“悩み”に徹底的に向き合い奮闘「推し家具シリーズ」が注目される理由
Profile 株式会社ベガコーポレーション
執行役員:江田さん
OSHITERUシリーズディレクション:関さん
広報担当:古賀さん
この記事をざっくりまとめると…
・通常家具でも代用可能なのに、なぜ”推し活特化”に着目した?
・推し活社員が集結し、”悩み”に徹底的に向き合う
・リアルさを追求するために、仮想の推しキャラ爆誕!
・通常家具でも代用可能なのに、なぜ”推し活特化”に着目した?
・推し活社員が集結し、”悩み”に徹底的に向き合う
・リアルさを追求するために、仮想の推しキャラ爆誕!
通常家具でも代用可能、LOWYAが“推し活特化”に着目したワケ
では、なぜ、推し活グッズの収納に特化した“推し家具”を開発しようと思ったのか。
「カスタマーサービスに携わり、お客様の声を耳にするとともに、自身も推し活をしている2人の社員からの提案によって、推し活を行っている人がグッズの収納のために本当に必要な機能を備えた家具を作ることができたらと考えたのが、この企画のスタートでした」(関さん)
とはいえ、上司の反応はイマイチだった。執行役員の江田さんは当時を振り返りこう語る。
「推し活を知らなかったので、提案を受けても、“意外”のひと言で、本当に需要があるのか、まったくわかりませんでした。ただ、新しいことに挑戦するのは企業として必要なことですし、世の中にないものだけに、最悪売れなかったとしても、挑戦する価値はあると考えました。ですから、取り組むならしっかりプロジェクトを組んで、ニーズをきちんと導き出し、徹底的にこだわるよう伝えました」(江田さん)
「推し活といっても、アイドルからアニメ、スポーツなどジャンルは様々です。“推し活に特化”と謳うためには、やはりすべての界隈の人たちが満足できる家具が理想と考え、できるだけ幅広いジャンルから、熱心に推し活をしている社員を集めました」(関さん)
しかし、企画会議の当初はかなり紛糾したと関さんは苦笑する。
「皆さんに推し活グッズを持って来てもらったのですが、界隈によってグッズの種類もサイズも異なりますので、収納の悩みも様々で…。それぞれの界隈でありがちな悩みを聞きながらも、取捨選択が必要で、開発にはかなりの時間を要しました」(関さん)
「私も推し活をしているひとりなので、推しの誕生日に持っているグッズを飾り付けて写真を撮りたいのですが、年に1回のその日のために祭壇用のグッズを買い集めるのはけっこうハードルが高いものです。ですから、祭壇があるのはありがたいですよね」(古賀さん)
中にグッズが満載とは思えないくらい、“シンプルかつオシャレ”なデザインに
「弊社は収納だけでなく、ソファやベッド、照明やカーテン、雑貨など幅広い商品展開でトレンド感のある実用的な空間づくりを提案しています。その観点から、こだわりすぎて家具単体が浮いてしまわないよう、他のインテリアにも馴染むデザインにこだわりました。推し活をされている方の中には、『推しは拝みたいが、来客時は隠したい』という方も多くいらっしゃいますので、扉を締めれば、中にオタクグッズが満載とは思えないくらいシンプルでオシャレな収納家具に見えるのが特徴です」(古賀さん)
シリーズ第1弾として発売されたのは、幅75cmの収納家具。その後、「もっと収納がほしい」という声を受け、幅120cmのワイドタイプを発売。推し活グッズは、推せば推すほど増えていくものだが、その点も考慮し、2つのタイプの収納棚は、横並びでも上下でも連結して使えるよう考えられている。
販売当初は「どういう反響があるかわからなかった」と不安もあったようだが、SNSには「わかっている!」といった共感の声が多数寄せられたという。
リアルさを追求するため、仮想の推しキャラ「Arc2rus(呼称:アークトゥルス)」爆誕
「商品の使用感や魅力を伝えるためには、実際に、うちわや缶バッジ、ぬいぐるみやフィギュアなどグッズを飾ることがマストと考えました。ところが、既存の市販グッズを使うと版権の問題で商品の良さが正確に伝わりません。ならば自分たちで作ってしまおうと考えたのです」(関さん)
今年10月には、ホワイトのみだった収納家具に、お客様からの声に応えてブラックを追加、即完売という反響を得るなど、ますます注目されているLOWYAのOSHITERUシリーズ。今後の展開について江田さんはこう語る。
「消耗品と違って、“家具”は1年や2年で買い替えるものではないので、新しい商品を次々と世に送り出す性質のものではありません。ただ、SNSによるマーケティングを活用したり、日々お客様の声を拾い上げながら、界隈の皆さんの需要に合わせて、時流も見つつ、今後も既存商品をブラッシュアップするなど、より良い商品をお客様に提供できればと考えています」(江田さん)
「インテリアを自由気ままに」を企業ビジョンに掲げるLOWYAの、こだわりが詰まった家具でオンリーワンの推し活ワールドを作る――推しファンの楽しみがまた増えそうだ。
取材・文:河上いつ子