『黒ひげ危機一発』ルール変更に賛否? 国民的エンタメゲームが“原点回帰”で目指すものは何か、タカラトミーに聞いた
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2025年7月5日に発売された「黒ひげ危機一発」(7代目)
「“負け”ではなく“勝つ”という普遍的な楽しさを提案したい」
1975年発売の初代『黒ひげ危機一発』。今より”樽”がほっそり!
『黒ひげ危機一発』が誕生したのは1975年。鎌倉で行われた企画を練るためのアイデア合宿に参加していた開発担当者が、海を見ながら「敵に捕まって、樽の中でグルグル巻きにされている親分を救出するため、子分たちが短剣を刺して縄を切る」というストーリーを思いついたことが発端だった。そのため、当時は当然、「飛び出させた人が勝ち」がゲームの正式ルールだった。
50年前に描かれた開発当初のスケッチ!
そして発売50周年を迎えた今年、そのルールをくつがえし、“原点回帰”で「飛び出したら勝ち」にルール変更した『黒ひげ危機一発』。X上では、「1人負けよりも1人勝ちのほうが今の価値観に合っている」「負けよりも勝ち、ネガティブよりポジティブは現代に合っている」などの賛同が寄せられる一方で、「飛び出したら負けの方が緊迫感あって面白い」と従来のルールを推す声も少なくなかった。
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『黒ひげ危機一発(6代目)』パッケージに記載されている遊び方。「飛び出した人が負け」と解説がある。
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7月5日に発売された『黒ひげ危機一発(7代目)』パッケージに記載されている遊び方。「飛び出した人が勝ち」に変更されている。
「『誰か1人が負けて終わるよりも勝って終わったほうがポジティブだよね』という声が実際、社内会議であがりましたが、ルール変更の後押しになった程度のことでした。また、『そもそも社内でルール変更に反対の声はなかったのか』という声も寄せられましたが、そういった動きはほとんどありませんでした」
ルール変更はあくまで半世紀という長きにわたり親しまれてきた不朽のゲームへのリスペクトを込めた“原点回帰”だったのだ。
50年間でユニークな新商品25種以上を投入も、人気はスタンダード版
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50年の間に様々な新商品が登場。人形が5体でドキドキ感倍増の『超飛び黒ひげ危機一発MAX5』(2020年発売)
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飛び出すのは風船!?『黒ひげ危機一発 お助けバルーン』(1995年発売)
「世界でも、『飛び出させた人が負け』が主流となっています。おそらく日本のルールがそのまま適用されたためだと思います。遊び方については、ご家族で集まった際などに使われることが多いと聞いたことがありますが、日本が一番いろいろなところで遊んでいただいているのではないかと思います。託児所や高齢者施設をはじめ、バーなどで大人の方が飲みながら遊ばれたり、イベントで使っていただいたり、遊ぶシーンでは日本が一番バリエーション豊かな印象です」(タカラトミー プリスクール・ゲーム事業部・池澤圭さん/以下同)
海外版『黒ひげ危機一発』
先の人生ゲームのほかにも、リカちゃんやプラレールなど、時代に合わせて姿を変えながら愛され続けるロングセラー商品を多数抱える同社では、『黒ひげ危機一発』も定期的に新商品を投入してきた。
ビリビリ振動を加えた『黒ひげ博士ビリビリ危機一発』や5人の黒ひげが一斉に飛び出す『超飛び黒ひげ危機一発MAX5』、すごろくのルールを適用した『黒ひげ危機一発 ゆらゆら海賊船ゲーム』など、これまでに25種以上の変わり種が登場している。それらが話題となる一方で実感したのは、「やはりオーソドックスなスタンダード版の揺るぎない人気だった」という。
そのため、『黒ひげ危機一発』においては、「変わらないこと」を売りとしたスタンダード版も発売されてきた。1979年に登場した2代目で樽と人形のデザインをガラッと変えてからは、見た目はほぼ変わっていない。今月5日に発売されたスタンダード版7代目も、「黒ひげ人形の手のデザインが6代目よりも若干がっちりした」と、もはや間違い探しかというほどのマニアにしかわからないアップデートとなっている。
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6代目「黒ひげ」人形。アップデートされた箇所は…?
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7代目「黒ひげ」人形。存在感のある手にチェンジ!
アナログでも現役、『黒ひげ危機一発』が“懐かし玩具”にならないワケ
「やはりアナログゲームには、膝と膝を突き合わせて、相手の表情を見ながら遊べるという楽しさがあるからだと思います。しかも『黒ひげ』は、難しいことは一切考えずに、ただみんなの反応を見ながら楽しく盛り上がることができます。それはデジタルゲームにはない魅力だと思います」
コロナ禍を経て、令和世代たちからの需要の高まりも実感していると池澤さんはいう。
リアルなコミュニケ―ションがなかなか生まれにくくなったといわれるデジタル時代、1つのゲームで盛り上がる中で生まれる会話や笑いはより貴重なものとなっている。『黒ひげ危機一発』もそんな使命を負ったゲームの一つということだろう。
ちなみに、発売50年目の“原点回帰”は「ルール変更」だけではないそうだ。
「アイデア発祥の地・鎌倉にて8月下旬までコラボカフェを開催しています。9月には由比ガ浜海岸でビーチクリーンも開催予定です。現地では『巨大黒ひげ危機一発』で遊べるので、ぜひ、『黒ひげ』を通じてリアルなコミュニケーションを楽しんでください」
(取材・文/河上いつ子)
名称:KUROHIGE×SEASONS コラボカフェ in ZAIMOKUZA
日程:2025年7月5日(土)〜8月31日(日)
場所:材木座テラス1F 「ZAIMOKUZA SEASONS TABLE」(神奈川県鎌倉市材木座5丁目8-25)
【黒ひげビーチクリーン】
名称:「クリーンアップかまくら×黒ひげ危機一発(海の部)」
日程:2025年9月21日(日)9時30分〜(11時頃終了予定)
場所:由比ガ浜海岸(由比ヶ浜海岸滑川桜貝石碑階段下砂浜)
>詳しくはコチラ!『黒ひげ危機一発』50周年特設サイト(外部サイト)