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「息をかぎまくる!」臭気判定士とは? “覚悟”から生まれたブレスケア開発の裏側
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最後の決め手は「人の鼻」 朝食は白米と水だけ…臭気判定士の徹底した検証ルール
「ニオイの評価というのは、分析機器ではわからないことが結構あるんです」と同氏は切り出す。ニンニクやアルコールなど、飲食由来のニオイを対象にした製品開発では、成分の分析だけでは捉えきれない領域があり、「最終的には人の鼻、官能評価で、確認していくという手順を組んでいます」という。
具体的には、社員からニオイの強い食べ物を食べてくれる協力者を募り、食べた後の息を回収して鼻で嗅ぐという方法をとる。評価の物差しとして使われるのが「においの六段階の臭気強度表示法」で、どの程度の強さかを段階的に確認しながら開発を進めるという。ビーカーでの化学的な検証から始まり、最終的には人による官能評価でニオイをケアできる候補を絞り込んでいく、二段階の工程を踏んでいる。
「あくまで善意という形で手を挙げてもらっていますが、最近流行っている中でもニオイの強いメニューを候補に『ランチの時間帯で○○が食べられます』などと声掛けすると、積極的な反応が返ってきます(笑)。オーラルケア開発に携わるメンバーが中心となっていて、参加することで開発に関わる実感を得られる。若手メンバーが積極的に参加してくれる機会にもなっています」
臭気検証にあたっては基本的なルールがある。前日の飲酒は禁止し、ニオイの強い食べ物の摂取を控える。当日の朝食は白米と水に限定し、出社後もニオイのつく食べ物は避けているという。倉光氏自身も、自分のニオイが評価に影響することを避けるため、整髪料なども身につけないよう徹底していると明かす。
「自分自身からニオイがすると良くないという思いがあります。ニオイの強い食べ物や、柔軟剤などがついた服、整髪料も検証を妨げるニオイに該当しますので、前日から身につけないことを徹底しています」
また「ただのエチケットでとどまらせたくない」と本音で話してくれた。「呼気の検証は何回やっても慣れることはありません(笑)。毎回覚悟をしています。考えるのは、口のニオイの先に色々な広がりがあるということです。食事を楽しむ、会話を楽しむ、人生を楽しむことが待っていると思うので、ニオイの検証を通じて貢献していきたいと考えています」。
餃子3つでも翌日までニオイが残る マスクをしても息は漏れている
呼気漏れ試験の様子(写真提供:小林製薬)。マスクを着用していても、隙間から空気が漏れ出ている様子が伺える
また、マスクで防いだつもりになっていても、ニオイは漏れ出でいることが同社の実験によっても分かっているという。
マスクをすれば安心とは言えない。ニオイケアグッズなどを上手に取り入れながら、適切に息をケアしていく必要がある。
“口内の脂残り”に着目した炭酸タブレット 酸味に合う香りを探してたどり着いたレモン
1997年9月に発売された『ブレスケア』初代パッケージ(写真提供:小林製薬)
『ブレスケア 炭酸タブレット』(写真提供:小林製薬)
味の設計には苦労があったようだ。発泡する炭酸は酸味が強く出るため、その酸味と合う香料を探る必要があった。倉光さんは「味との相性の制限が多い中での開発だったので、そこは大変でした」と振り返る。試行錯誤の末に選ばれたのが、レモン系の香りだ。
「タブレットを噛むと発泡する仕様上、どうしても酸っぱい味が出てしまいます。そのため、まず“その酸味と合う香料”でなければならない制約がありました。息をリセットする商品である以上、選ぶ香料自体が息の匂いの気になりを損なわないものである必要があり、結果的にレモン系の匂いが一番ヒットするなということで、そちらを選択しました」
コロナ禍で対人機会が減り、ブレスケアの売り上げは一時「半分近くまで落ちてしまった」(マーケティング本部ブランドマネージャー奥井さん)というが、現在は好調に推移しているという。「コロナが明けたことで、生活環境も戻り、人と会う機会や外食も戻ってきて、人に対してのマナーやエチケットの意識が上がってきている」ことが背景にあるとみており、コロナ禍にマスクをつけることで、自分の息のニオイに改めて気づく人が増えているという実感もあるという。
「コロナ禍のような環境変化はありましたが、それでもやっぱり普遍的に変わらないのは、食事を楽しむ、人との会話を楽しむということだと思っています。だからこそ、息を爽やかに保ちたいという本質的なニーズも変わらない。ブレスケアとしては、今後も人々の息にリフレッシュ感を届けて、いつまでも自分らしく過ごせるように。お客様の会話のお守りであり続けるための提案をしたいと、常々考えています」(奥井さん)