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「長引く咳」の正体は…「インフル」の名残り?「咳ぜんそく」?「NTM症」の可能性も【医師解説】
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監修者 クリニックフォア監修医/内科医 渥美 義大
神戸大学医学部卒。東京都済生会中央病院で糖尿病内科スタッフやチーフレジデントとして勤務。現在は糖尿病専門医・日本内科学会認定医として、質の高いプライマリケアの実現と慢性疾患管理の向上に尽力している。
インフルやコロナ後に残る咳、「薬を使ってもなかなか効かないことが多い」
長引く「謎の咳」6つの主な正体(オリコンニュースが作成)
「『風邪やインフルエンザ・新型コロナなどの感染症にかかった後、咳だけが残る』という状態は、医学的にも『感染後咳嗽(かんせんごがいそう)』という病名がついているほど、ごく当たり前に起こることです。皆さんが思っている以上にこの咳は長引くもので、長い人だと1〜2ヵ月続くことも珍しくありません」
――そんなに長引くこともあるんですね。
「風邪という明確なきっかけがあり、生活に大きな支障がなければ、3週間程度までは様子を見ていただいても問題はないかと思います。ただ、熱が続く、息苦しさや胸の痛みがあるなど他の症状もある場合は、3週間を待たずに受診してください。実はこの感染後咳嗽は、薬を使ってもなかなか効かないことが多いというのも特徴の一つですね」
厚労省も啓発する「肺NTM症」とは? 長引く咳に潜む結核や非結核性抗酸菌症
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「まさにタイムリーな話題ですね。従来の結核・呼吸器感染症予防週間に加えて今年新たに新設されました。『肺NTM症』は、水回りや土壌などに存在する『非結核性抗酸菌』が肺に感染して起こる病気です。結核とは異なり人から人へ感染することはありませんが、近年、特に中高年女性を中心に患者数が増加しているとされ、啓発週間が設けられました。今年の標語は『長引く咳にNTM症という視点を』ですから、長引く咳のときに肺NTM症や結核を考慮することは大切です」
──感染を防ぐための予防法や、受診のポイントを教えてください。
「菌が身の回りの水場や土に潜んでいるため、ガーデニング時のマスク着用や、浴室のシャワーヘッド・ぬめりのこまめな清掃・乾燥が予防に役立ちます。また、一般的な風邪薬や抗菌薬では改善しにくいため、咳や痰が何ヵ月もダラダラと続く場合は『そのうち治るだろう』と放置せず、受診して相談することをお考えください」
「咳ぜんそく」に注意、「気管支ぜんそく」に移行する可能性も
「『咳ぜんそく』は、コホンコホンという乾いた咳が出るのが特徴です。気管支ぜんそくのように、呼吸をする時に『ヒューヒュー』と音が鳴る喘鳴(ぜんめい)状態にはならないのが咳ぜんそくです。喘息の治療でも使われる気管支を広げる吸入薬が効果的とされ、それを使って症状が治まれば咳ぜんそくだったと判断する目安にもなります」
――「ぜんそく」という名がつくだけに、気管支ぜんそくのように慢性化しないか不安です。
「咳ぜんそくを何度も繰り返している方は、報告によって差はあるものの、数年内に3割程度が本格的な『気管支ぜんそく』に移行してしまう可能性があると言われています。そのため、症状が出た時だけ一時的に薬を飲むのではなく、気道の炎症を抑える吸入薬(吸入ステロイド)を使って症状が出ないようにコントロールする治療を継続することが望ましいです」
マイコプラズマやアレルギー、胃酸逆流も長引く咳の原因に
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「通称“歩く肺炎(ウォーキングニューモニア)”と言われる『マイコプラズマ肺炎』もあります。比較的元気に動けてしまうのに感染力があるのが特徴で、2024年に過去最大級の流行を記録して以降、2025〜2026年も平年より高い水準が継続しています。学童・若年層に多いですが、近年は成人の感染も目立ちます。『乾いた咳が長く続く』『市販の風邪薬があまり効かない』場合は候補の一つと考えてください。また、百日咳は2025年に記録的流行がありましたが、今年は前年同期の1割程度まで減少しています」
――ほかにはいかがでしょうか?
「例えば『アトピー咳嗽(がいそう)』は秋の花粉や家の中のハウスダスト、ペットなど何かしらのアレルギー刺激によって咳が出るもので、アレルギー用の薬で効果が期待できます。ご自身にアトピー性皮膚炎などの自覚が全くなくても起こることがあり、注意が必要です」
――なるほど、アレルギー性のこともあるんですね。
「ほかに、鼻水が喉の奥に垂れ込む『後鼻漏(こうびろう)』や、胃酸が逆流する『逆流性食道炎』が咳の原因になることもありますね。後鼻漏は横になった時に鼻水が垂れ込むため就寝時に咳が出やすく、逆流性食道炎の場合は胸やけなどの症状を伴うことが多いのが特徴として挙げられます」
受診の目安は「3週間」、肺炎や結核、肺がんなどが隠れている可能性も
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「秋特有の『寒暖差』や『空気の乾燥』は大きな刺激になりますし、『運動』も喘息などを誘発しやすい要因です。また、風邪の治りかけの人などは『会話をする』こと自体が刺激になって咳が出てしまうことも少なくありません。他にも香水や柔軟剤などの芳香成分や、たばこの煙、お風呂上がりの湯気や、暖かい部屋から寒い屋外に出た時のような急激な温度差がトリガーになるケースもあるため、日常のちょっとした刺激には注意が必要ですね」
──咳がつらくて眠れないような時、自分でできるケア方法はありますか?
「やはり乾燥は気道の刺激になるため、まずは『加湿』をしていただくことが非常に大事です。また鼻水が垂れ込む後鼻漏や胃酸が逆流する逆流性食道炎の気がある方は、寝る時に枕を高くして頭を上げ、体がフラットにならないようにすると咳が出にくくなります。温かい飲み物も良いですし、古くから言われている『ハチミツ』もおすすめです。ハチミツには咳止めの作用があるという医学的なエビデンスがあるため、ティースプーンで少し舐めるなどの方法は有効です。ただ、1歳未満の乳児は腸内環境が未熟で、ハチミツに含まれる菌によって乳児ボツリヌス症を起こすリスクがあるため、絶対にハチミツを与えないよう注意してください。咳止め薬だけに頼らず、乾燥やアレルギー、逆流など原因に合わせた対策を組み合わせることが大切です」
「一般的な風邪の症状としての咳であれば基本的には1〜2週間で治まりますが、私たちが『遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう/長引く咳)』と判断する一つの定義は『3週間』を超えたあたりからになります。咳が3週間ほど続いて困るようであれば、先ほど挙げたような咳ぜんそくやアレルギーの他にも、肺炎や結核、年齢や喫煙歴によっては肺がんといった病気が隠れている可能性も考えられます。ですので、3週間を一つの受診の目安と考えていただくと良いでしょう。ただし『3週間』はあくまで一つの目安で、息苦しさや高熱、体重減少といった症状を伴う場合はその限りではありません。心配なときは、3週間を待たずに医療機関にご相談ください」